人を育てるということ

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日本が発展し、経済大国になるプロセスの中で、「人」すなわち「人材」の育成は必然性を伴い、どんな企業も焦点を当てていた部分である。終身雇用が一般的であった企業は年功序列という仕組みの基に、人は自然に育ち、年と共に技術を習得してきた。

現在年間出生数がほぼ100万人だが、1947年から1949年の3年間で、合計約800万人が生れ、この団塊世代が日本の経済成長を支えてきた。働き手が多いから、失業も多いのであるが、その中には段階的に人を育てる研修が組み込まれており、上司は部下を育てるということが、職務分掌かのように認識されていた。今は懐かしい言葉になってしまったが、OJT(On the Job Training)が社員の常識であった。しかし、歴史のある企業や職人の世界を除き、OJTは現在の現場には殆ど存在しない。

なぜ、存在しないのか?

ブライダルに特化して考えると、販売価格も高く、複雑な知識の必要な業務にも関わらず、企業数が急激に拡大し、要となる人材の育成が追いつかない、また、利益追求に特化しすぎ、ESを損ない結果的に人がいつかないブラック企業と化した。また、WEBの急激な発達により、情報が常に周囲に溢れ、技術を習得することが必要だという概念がそもそも失われてしまったのだ。

一番の問題点は、人手不足により、未熟な知識や経験しか備わっていないスタッフでも、頭数として員数に考えてしまうことが一般的となり、その人達が上司になってもそれが常識的なことだと認識し、繰り返された結果、現場には誰一人としてプロがいなくなってしまったのだ。

一方、社会全体が、スペシャリストよりゼネラリストを求める時代があり、プロがいなくなっても、出来るという判断も行われるようになったが、出来るというレベルの問題には全く興味がなく、結果的には非常に非効率的な業務が行われ、生産性が著しく低下し、員数だけで考えると、人手不足の上に、更に人が不足するという事態になりなり、ますます現場は困窮する。

この辺りを認識する経営者も多いが、そのソリューションを非常に性急に行おうとするため、更に現場が困惑する。上場会社でも、中小企業でも状況は同様で、人材育成には時間を要するため、目前の売上を上げることを優先し、売上減少の理由が「プロの人財不足」にあるということに気づかないのである。

特に、サービス業においては、CSはESの上にしか成り立たないという真理を教科書理論ぐらいにしか思っていないトップの考えがある企業に繁栄はない。企業の売上や利益をアップさせているホワイト企業と言われているところは、必ずこの心理に忠実である。

成功している企業が、なぜ成功しているか?検証すべきだし、本質的に真理で、いいことはどんどんまねるべきである。働く者にとって、ESは給料の高い安いではない。「弊社は小企業なので、大企業のようにはできませんよ。」などと言っていること自体が、マネジメントをするものとしては失格である。

スカンクワークスという仕事の手法があるが、いわゆる能力の高い少人数の人材で、その人数の何倍もの人材を要する仕事を行うことで、労働人口がどんどん減少する中で、中長期的な人財教育を計画し、能力の高い人材育成を目指せるかどうかが、今後の課題であろう。

 

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