検定が出来るまでの30年 Vol.7 サービス冥利に尽きるエピソード

検定が出来るまでの30Vol.7 サービス冥利に尽きるエピソード

内閣府認可財団法人認定 ウエディングプランナー資格

レストランを手伝うときは、いつも決まったエリアで、島と呼ばれる窓際席以外のテーブルを支配人と2人で担当する。その支配人は、一緒に仕事をするにしたがって、最初のころは聖徳太子のように思ってしまった。なぜなら、このレストランではランチタイムに満席になることが多いが、担当するおおよそ8テーブルの個々のお客様の食前酒からオーダーメニューの肉の焼き方まで把握しているのだ。私は、記憶力がよくないほうなので、1つのテーブルでも個々のお客様のオーダーメニューを覚えるなど、至難の業である。このレストランでは、顧客の個々のオーダーメニューを覚えていないと、戦争のように忙しいランチタイムに支障が出てしまうからだ。とにかく、少数精鋭でサービスをするため、デシャップに料理を取りに行くときから、料理を提供する順番を把握し、最後にサービスする料理から順番に、4つ持つようにしなければならない。つまり、1回で4人分の料理(1テーブル分)を運ばなければスムースな流れでサービスを進めることが難しいのだ。料理や飲物のサービスする順番は、テーブルごとに、ゲスト1,2ホスト1.2の順番にサービスする。テーブルのある場所によって、すべてのテーブルで席の優先順位が決まっているのだ。しかし、この支配人は、その日のお客様のオーダーメニューを殆ど把握しているのだ。本当に凄いことで、私は感動し、いつも尊敬の念をもって仕事をさせていただいていた。

私も3か月ほどたった頃、あることに気づいた。自分もだんだんお客様の個々のメニューを覚えられるようになってきたのだ。よくよく考えてみると、リピートで来ていただく方は、ほとんどの方が、いつも同じ食前酒を飲み、メニューも同じようなものも頼み、特に肉の焼き方は、例えばミディアムレアーを頼む人は、いつも同じ焼き方でオーダーするのだ。このレストランは、お客様の殆どが接待利用で、4人で来れば、2人がゲストで2人がホストだ。つまり、ホストの人は常連が殆どで、覚えるのはゲストの分だけでいいわけだ。だから、何年もやっていれば、ほとんどのお客様のメニュー内容はほぼわかっているので、覚えやすい。

なるほど、これがリピーターの多いレストランの楽しく仕事ができる要因の一つであり、飲物などは聞かずして提供してしまうのもプロの技としてお客様に映り、顧客をつなげとめる重要なノウハウの一つだと思った。長く勤務することで、お客様とのコミュニケーションもとれるし、その結果、お客様も他の店に浮気をしないで通ってくれるわけだ。しかし、お客様にマンネリ感を感じさせないようにしたり、お越しいただいたときには、小さなサプライズを感じさせたりしないといけないので、必死で毎日勉強し、知識を詰め込むことに努力していた。こうしたノウハウのような知識と経験を毎日のように積み重ねることができた。

また、私は宴会担当だったので、普段は宴会場で仕事をしているが、場所柄来ていただいている配膳会の方の中には、宮内庁御用達宴会の経験の多い方もたくさんいて、皇居などでの仕事や宴会サービスの内容や料理の話など、休憩時間には、お茶をしながら毎日そんな話ばかりだったので、本当に毎日が充実し楽しくて大満足であった。しかし、以前の奴隷のような人間関係は完全に解消されたが、相変わらず仕事はきついし、厳しいので滅入ることもあった。一方この会社には、組合があるので、業務上の問題があれば何でも相談できたし、サービス残業などはほとんど存在しないし、公休消化も厳しく管理されていた。しかし、自分は、とにかく仕事を覚えたかったので、いつも定時にタイムカードに打刻してから仕事をしていた。ここでの経験は、自分にとってとても有意義な経験であり、自分の人生の基盤にもなったと思う。

ホテルは、人生の縮図で喜怒哀楽のいろいろなシーンを経験することができる。お客様のことを真剣に考えて、フレキシブルに対応していると、サービスマン冥利に尽きることも結構多い。

具体的な会社名や名前は申し上げられないが、日本を代表する大企業で、そこのほぼトップと言える人が、いつも私を指名してくれるお客様だった。その日も、ある国会議員の方と二人だけで個室を予約し、会食されていった。事前に代議士との会食と聞いていたので、私が「席を外したほうが良いときはおっしゃってください」と申し上げると「谷藤君、今日は楽しいただの会食だから、ずーといてもいいよ」というのでフルアテンドした。そのお客様は、ワインが好きなので、とりあえずワインリストをお持ちした。そして、私は、料理のオーダーを伺ってから、ワインのおすすめをしようと思っていた。そうするとそのお客様が、「谷藤君、おれさぁ、普段からこんなもんばっかり食べてるけど、実は東北育ちの田舎者なんだよ。今日の先生(代議士)は、友達同然だから、失礼だけどお茶漬けかなんか食いたいな。」とおっしゃった。私は、ちょっと困惑して、「ご飯とお茶は何とかご用意できますが、お茶漬けのトッピングは何かお好みのものはございますか?」と尋ねると、「ん~、そうだな、お新香がいいな」とおっしゃるので、「すみません、私どもは洋食屋なので、お新香は申し訳ないのですが、ないのですが。」と答えると、「そりゃそうだよね、悪い悪い。」とおっしゃった。その瞬間、私は、その日のまかないのカレーについてきた福神漬のことを思い出した。私は結構真剣にいろいろと頭を巡らしていたので、そのお客様に「あのぉ、大変失礼かとは思いますが、私どもの従食で出している福神漬ならございます。結構美味しいと思うのですが、それくらいしかないです・・・。」と聞いてみたら、「それでいいよ。ん、それでいい」とおっしゃったので、本当にこんなことしていいのかなと思いつつ、ご飯とお茶と福神漬をきれにもってお出しした。そのお客様は、それをもっていったときに、「こりゃいいや、ねぇ○○さん」とお連れの代議士に相槌をもとめると、その代議士も「こんな高級なところで、こんなメニューだすんだねぇ」と呆れたのか感心したのかわからないが、とりあえず微笑みながら相槌を打っていた。代議士のほうは、大変よく食べる方のようで、一通りフルコースで楽しみながらオードヴルからデザートまで注文を受けた。メインは牛肉で、通常2Personで提供しており、骨の重量も入れると500gはある但馬牛のTボーンステーキを注文したので、フランベした後、骨を外し、ヒレの部分とロースの部分を分かるように盛り付け供したが、両方とも本当に美味しそうに堪能されていた。

食事も終わり、個室をでてエレベーターホールまでお見送りに行くときに、「谷藤君、今日の料理は今までで一番おいしかった気がするよ、ありがとう」とおっしゃったので「ほんとですか、残り物みたいなものをお出ししてしまいすみませんでした。」というと、「ほんとに美味しかったよ、ちゃんと請求してね。」とおっしゃったので、「とんでもないです料金は結構です」というと、「それは駄目だよ谷藤君、谷藤君のサービス料も含めて、料理代10,000円で請求して、請求しないともう来ないよ」というので、特別料理10,000円でご請求させていただいた。

このようなお客様のサービスをしていると、本当にサービスが好きになるし、楽しいし、心から仕事冥利につきると感じ、至福の時を過ごした思いになる。

 

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