車もシェアリング、人材もシェアリングの時代

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ITの進化は、凄まじいものがあり、瞬きしている間にも大きく進化している。例えば、100mを10秒で走るオリンピック選手に例えるならば、その変化は、わずか0.1秒で100mを走れるようになったくらいだ。つまり、信じられないほどの進化だ。いろいろな人がいろんなことを言うので、信憑性はいかに?ということはあるかもしれないが、AIを搭載したロボットの進化は目覚ましく、ロボットの行う作業シェアがどんどん増え、恐らく10年後には、人が行う作業は、現在の半分くらいになってしまうだろう。

その時代に、しっかりと生き残るためには、人にしか出来ないスキルを身に着けることが必要なのではないかと思う。

実は、私が30年間以上携わってきたウエディングにもそうした領域の仕事が存在するのではないかと思う。

現在のウエディングプランナーといわれるひとの多くの仕事は、ウエディングプランナーではなく、ウエディングコーディネーターである。すなわち、専門分野の人たちがお客様である新郎新婦と打合せを行う際のアポイントの調整と発注業務くらいが主な仕事となっているからだ。本来のウエディングプランナーの仕事は、1組の新郎新婦のすべてを打合せるのが仕事だったのだ。しかし、いつからか(いつからかは判明している)効率性、売上至上主義のもとに、その業務はコーディネーター業務となったのである。

 

20年ほど前になるだろうか、あるホテルでは、年間3000件以上の結婚式を行っていた。その時代は、まさにウエディングプランナーの時代であり、今では想像できないであろうが、一人のウエディングプランナーの担当婚礼が、1か月20件というすさまじいものであった。そのホテルでは、件数が確保できているので、今のように何が何でも単価アップということではなく、そこに時間をかけるよりも、件数をいかに効率的にこなすかが重要であった。だから、ウエディングプランナーは、短い時間でどれだけお客様と信頼関係を構築できるかが、むしろ業務の効率化であった。

しかし、当時のようにウエディングプランナーが憧れの職業だった時代は過去のものとなり、今やウエディングプランナーに必要なのは、高決定率のみ。決めてしまえば、「あとは野となれ山となれ」と言ったようなものだ。

会場によっては、法に触れなければ何でもいい。とにかく決定率を上げろというのが唯一の指示という会場すらあるくらいだ。会場によっては、消費者契約法に明らかに抵触するような詐欺同然の手法でお客様を獲得している会場も少なくない。以外にも、信じ難いが上場企業がそうであったりすることも多い。

このような状況の中、知識が豊富でスキルの高い人材は、どんどんブライダル業界を後にするウエディングプランナーが多い中、少数だとは思うが、しっかりと想いをもって臨んでいるウエディングプランナーも確実に存在する。

こうした人材を採用出来れば、企業にとってもメリットは大きいはずだ。しかし、当たり前のことだが、能力の高い人材は、報酬も高い。小規模な会場で、こうした人材を雇用することは難しいのが現状だ。しかし、そうした人材が、必要な時だけ使えるのならば、多少割高でもメリットは大きいはずだ。

人材が薄く、定着率も低いので、人材を維持するのが難しければ、打合せだけでも全てアウトソーシングすればいいのだ。

アウトソーシングの人件費は、当然社員よりは高くなるので、社員の不満が発生してしまう。ならばスタッフの均質化を図るためにも、打合せ部分だけ全員アウトソーシングしてしまえば問題は解決する。退職するたびに後任探しに苦労し、募集広告などの出費も考えるならば、それが得策だと思う。

それを実現できるのが、実はカーシェアリングならぬ人材シェアリングである。

人材は、雇用すると法定福利費や福利厚生費で最低でも給与の1.5倍はかかる。それならば、有能な人材を多少割高でもシェアリングすれば、少なくとも必要最低限のことはできるプロフェッショナルだから企業にとってのメリットは大きいはずだ。

 

今も昔も変わらないが、配膳会という存在がある。昔は、配膳会を職業にしているプロの配膳会の人も多かった。私は、大学卒業と同時に東京駅前の老舗ホテルに就職し、希望して宴会部に配属されたが、その時のサービスの先生は、プロの配膳会の常備という派遣スタッフだった。場所柄、宮内庁御用達宴会の常連スタッフも多く、非常に多くのことを細部まで学ぶことが出来た。

実は、この配膳会の仕組みは、まさにこれからの時代の考え方に合致する非常に合理的な考え方だと思う。つまり、配膳会のスタッフは、どこのホテルに仕事に行っても、行ったその瞬間からプロのサービスマンとして働くことが出来るのだ。

これは、いわゆうホテルサービスのプロトコルが存在するからだ。どこのホテルに行ってもプロトコルによって仕事が流れているので、新たにそこの会場の知識を得る必要がないのだ。素晴らしい業務オペレーションの効率化である。

こんなことを提案すると、オリジナリティが無くなるとかおっしゃる方もいらっしゃるかもしれないが、現状はそれ以前の問題に直面しているはずだ。顧客満足度も間違いなく大切なことではあるが、それ以前に、お客様にストレスを与えないことの方が重要なはずだ。顧客満足は、それが出来てからのことだと思う。

素晴らしい業務オペレーションの例を挙げると、披露宴前のブリーフィングで、あなたの今日のテーブル担当は「亀」のテーブルですと言われたら、自分の担当は「新婦両親のテーブルだから、サービスが始まったら両親を確認し、媒酌人や主賓の挨拶の椅子引きやご指示、最後の謝辞の時の誘導をしなければならない」ということは、誰が言わずとも認識していたのである。

こうしたシステムは、本当に素晴らしいシステムであったが、今の時代に消滅していくのを見るにつけて本当に残念でならない。

しかし、こうした考え方は、今私が運営しているIWPA国際ウエディングプランナー協会の会員によって実現できる環境にあることと、関東、九州、北海道で現実に運用している実例である。

私自身、シェアリングという言葉は、人材に対して使う言葉だとは思っていないが、現代では、最も的確に説明できる言葉なのであえて使わせてもらった。

 

 

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