企業は顧客を踏み台にして生き延びている

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コロナ禍が第3波を迎え、いよいよ窮地に立たされているブライダル企業が多いようだ。現状や今後の状況から見て、特にブライダルを専門に行っているゲストハウス系、専門式場系はその度合いも深刻だろう。

弊社もブライダル関係の仕事を生業にしている企業なのだが、今年の4月以降の売上は、前年に比べるとほぼほぼ限りなくゼロに近い。得体のしれないCOVID- 19(武漢風邪)が世界に猛威を振るい、まさに21世紀のパンデミックとなっている。私たちの生活スタイルや生活習慣、リモートワークなる仕事の在り方までにも影響が及んでいる。

弊社は、コンサルをはじめ、プロデュースや披露宴司会、教育や検定などブライダルの様々な分野の仕事をしており、その中で、ブライダル保険はお客様の悲痛な声をリアルに聴ける部門でもある。

COVID- 19の第1波の時には、大変な混乱を招いたが、第3波が始まった今後においても相当な混乱が予想される。

そんな中で、私は一部の企業の心無い対応に、困惑し、非常に激しい憤りを感じている。COVID- 19は、誰のせいなのだろうか?心無い企業は、あたかもそれが新郎新婦のせいであるかの如く、非情な対応を行っている。これが、本当に一部上場企業の対応なのか?と首をかしげざるを得ない。悲痛な叫びをあげている顧客に対し容赦なく契約に基づく通り一遍の処理を行っているのだ。企業だって、社員がいてその社員の生活を守る義務があるという表向きの大義名分を盾に、自分達の利益の確保に躍起の状態だ。現状のアメリカの一見グローバリズムの台頭を見ているようだ。企業判断としては当然と言えば当然かもしれないが、しかし、詐欺ギリギリの行為は、看過できる状況ではない。それは、誰であっても、どんな状況でもだ。なぜなら、私たちは日本人であり、ここは日本だからである。もっと日本人が本来持っている“真心”というものを意識してもらいたいものだ。

1990年のバブル崩壊によって、日本は大きく変わってしまった。それは、激しく長期にわたるデフレ経済がもたらした結果とも言えるが、今まで誇ってきた日本人の美徳が、まさにバブルと共に崩壊してしまったような気がする。自分のことを考える前に、まず他人のことを考えるという世界で唯一と言っても良い日本人の感性がなくなりつつある。すべてのことに関して、物事の本質に帰るという鉄則ともいえる法則が消えつつあるのだ。COVID- 19だのパンデミックだの言う前に、結婚式っていったい何だろう?どうして結婚式を行うのだろう?という基本的な疑問を解決できなければ、このブライダルにおける緊急事態にどう対処して良いかなど分かるはずがない。バブルの遺産ともいうべきこのブライダルの会場カテゴリーの運営者には、次元が違いすぎて理解できないであろうことも私は理解できる。

先日、あるお客様からの悲痛な問い合わせに、思わず激怒してしまった。内容は、簡単に言うとこうだ。

このコロナ禍で、結婚式を延期したが、第3波の到来と共に再度来年に延期したいが、そのためには莫大な延期料というかキャンセル料がかかるので何とか出来ないかということだった。結婚式は、契約なのであくまで契約書に記された文言に従うのが当たり前のことである。

ところがである、結婚式予定の20日前にあって、今回の第3波である。招待者に迷惑をかけてはいけないと考え、規模を縮小して行おうとしたが、その規模縮小にかかる費用が常軌を逸していることだ。

本来、20数名という小規模な結婚式であったが、前述した理由から、両親と本人だけの6名で行いたく提出された見積が、20数名で行った時よりも大幅に上がっていることだ。そもそもこの時代にあって22名で250万円も費用がかかること自体が問題ありきなのに、それに輪をかけた形だ。さらに、キャンセルの場合は、キャンセル料が増額するというありえない現実だ。

契約社会のなかで、そもそも納得して?契約したはずだから、その時に取り交わした契約書に従った処理をすることは至って合法的なことだと思う。しかし、顧客にとって、今回のコロナ禍は寝耳に水だしいわゆる不可抗力に値する。この現状で、どんな理由があるにせよ、実施人数が4分の1になったのに、申込人数の時の金額より高額になるということがどういうことか事業者はよく考えてほしい。

ブライダルに特化された法律はないが、消費者契約法という法律がある。私は法曹関係者ではないので詳細は分からないが、明らかに今回のケースはこの法律に抵触する事案であると私は確信している。今では、重要事項については契約書の文字の大きさまで規制されており、あくまで販売者が購入者に対して、有利なことも不利なことも説明した上で契約されることが原則となっているはずだ。

しかし、本事案では、重要事項について説明を受けていない内容もあったようだ。

6名で実施する婚礼が、どんな事情があるにせよ、300万円近い費用がかかる現実はありえない。ましてや期日延期や人数縮小の理由が、パンデミックとなったCOVID- 19が理由なのだから、これらの企業の対処は、人の弱みに付け込んだ詐欺行為に匹敵する対処であり、これが上場企業であることが、何よりも日本の将来に影を落とす原因になるであろうことは火を見るよりも明らかではないか。

企業の中には、「利他の精神」を基本とする超大企業もあり、日本や世界に大きく貢献している企業も実存する中で、本来幸せを願うべきであり、基本一生に一度の人生最大の通過儀礼を逆手に取ったビジネススキームは、決して許されるものではない。この時代に対応できないのであれば、すぐに業界から撤退すべきだし、弱者を踏み台にしてまで存命を強行する企業体質に生理的嫌悪感を持ってしまうし、そうした企業が存命することを許してはいけないと考える。

 

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