救急搬送

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「救急車を呼んで」という叫び声にも似た声を聴いた、私のパートナーは、冗談だと思い
事務所と簡易ドアで繋がったサロンのソファーで横たわっている私を見て、
相当気が動転していたようだ。
それもそのはず、ほんの数十秒前まで、笑いながら打合せをしていたのだから。
私を先生と呼ぶパートナーは、弊社の取締役で現IWPA国際ウエディングプランナー協会の副会長でもある。
「先生、本当に救急車呼ぶんですか???」
「ああ、本当だよ」
「え~、番号は・・・救急車は114だっけ」
「いや、違うよ、119だよ」
普段、何があっても落ち着いている彼女もさすがに、混乱状態だった。

5分ほどだろうか。
比較的早く救急車が到着したの覚えている。
私は、頭の中に血液が充満してパンパン状態であることが分かった。
その瞬間、「俺はもう死ぬな」と思った。
そのさとりに似た何かが、妙に自分を冷静にしていた気がする。

救急隊の質問にも正確に答えていた自分を意識していたし
後々現在でもその救急隊とのやり取りは、鮮明に覚えている。
「伊藤さん、健康保険証が財布の中にあるから取って」

救急隊の方が、3階事務所から2階までしかないエレベーターで移動し
2階からは、階段で私を背負って下してくれた。
救急車に乗せられ、救急車のサイレンが鳴り響き、救急車が走り出した頃
随分サスペンションの固い車だなという記憶を最後にそれ以降1ヶ月間近い記憶が
今でも失われたままだ。

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