別れ

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来る時が来るかも知れない。そんな恐怖に襲われたのは、つい2日前のことであった。
兄貴から連絡があり、「今年89歳になる母が、もうだめかも知れないから覚悟はしておけ」ということだった。
私は5人兄姉の末っ子で、4人の兄姉の一番若い兄と9歳離れているので、
殆ど一人っ子のように育った。
昔でいう、高年齢出産での子供だったので、かわいがられて育ったのは間違いなく、
高校卒業後に大学の為に家を出てから、北海道と東京という距離の中で、
なおさら母との絆が深まったと思っている。

そんな母が危篤一歩手前状態で、私は、来週の火曜日から、意識のあるうちに会いに行く。
ついにその日が来るのだという現実に直面すると、非常に複雑な気持ちだ。

今春も会いに行ってきたが、88歳でも、きちんと化粧をして、頭にはパーマをあてて
いつもこぎれいにしていた母だが、
兄貴からの連絡で、もうそういう状態ではなく、頭もぼさぼさだし、化粧もしていないから
「会ってもびっくりするなよ」という兄貴の言葉は、私と母の関係をよく理解した最大限の
気遣いに満ちた言葉だったような気がする。

人との死別は、人生のなかで最も辛いことかも知れない。
父が事業で失敗を繰り返し、やっと安定し、裕福な家庭になったころに、
私は育ったので、他の兄姉のように苦労は少ない。

他の兄姉の話を聞いてきても、随分悲惨なことが多くあったようだが、
そんな話を聞きながら、でも、そんな苦労よりも、私よりも10年以上も
両親と長くいられる方がどれだけいいかということをいつも思っていた。

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