連載記事48 人材の魅力やスキル、商品価値で決定率を高める

企業にとっての人材のありかたをどう考えるかが、企業の生死を分ける時代に入ってきたように思う。無競争世代と言われる「さとり世代」が社会人になる時代で、企業にとって人集めと教育は重要な課題である。

先日、近畿大学の受験者数が日本一になったという話題があった。大学運営も少子化による先細りビジネスであり、どことなくブライダルに似ている。

近畿大学と言えば、日本人の大好きな鮪の養殖で、「近大マグロ」と称され、世界で初めて卵からクロマグロを養殖することに成功し、今や商業ベースでも実績をもつ。

近畿大学が、受験者数10万人を超し日本一になれたのは、一枚のポスターが貢献したとのことだ。このポスターには、富士山であろう山の頂からマグロの頭が突き出した絵が描かれており、「固定概念をぶっ壊す」というコピーが書かれている。この広告戦略が功を奏し、学生は、面白さや奇抜性を感じて、受験が殺到したというのだ。

広報によれば、広告作成に際しては、すぐ広まるようなインパクトがあり面白い物ということと、自分達自身を熟知して周知させることを徹底したという。

この奇抜性は、以前の連載でも紹介したLCCのピーチの優秀な人材が集まった「空飛ぶ電車」の背景とよく似ている。

しかし、企業にとっては、人をただたくさん集めればいいわけではなく、当然、その質というものが問われる。ところが、この時代にあって、企業により求める人材の質が異なっており、企業は当然「優秀な人材」を求めると思われがちだが、必ずしもそうではないようだ。

優秀な人材は、プロとしての高い知識や意識に基づいて、自分でものを考え、ルールに従って自分で決断し行動する。しかし、企業は必ずしもそういう人材を求めているわけではない。ブライダル業界でも、短期間に確実に利益を上げるための手っ取り早い手段として、洗脳教育が良いと考える企業もある。

特に欺瞞が多いと思われる企業では、物事をよく考え真実を追求するような優秀な人材は不要で、良いも悪いもなく企業の指示に従順に従う社員こそが必要な人材だと考えるようなことが、装置産業と化したブライダル業界には珍しくない。

世界で一流と言われるサービスの基本は「エンパワメント」が基本だったりするが、ロボットを製造するように人の促成栽培をする企業では、本来の「エンパワメント」は逆効果になると考えるのだ。

一流のサービスを追及するはずのホテルマンも、もしこのようなマニュアル的洗脳的教育を受けてしまうと、ほとんど使いものにならない人材になってしまう。

実際、婚礼特化型会場からホテルに転職するプランナーがいるが、こんなはずではなかったと、ホテルでの自分の決定率に愕然とすることは少なくない。

これは当たり前のことで、婚礼特化型会場に比べると、ホテルのような多目的会場の方が、決定に持ち込むのは難しい。また、一回限り、またはその場限りのビジネスである婚礼特化型会場とは違い、ホテル・レストランのように生涯顧客がビジネスの根幹を占める中で婚礼を獲得していくことの方が難易度が高いのは当然である。

今後、消費者が持つ情報量は益々多くなることが予想される中で、単に教えられたマニュアル通りに執拗に食い下がる営業や強制力を優先して販売実績を上げている会場は、この先決定率を下げていくことも多いであろう。

婚礼件数が先細りの状態にあって、来館決定率が低迷してしまったら、確実にビジネスは縮小していく。

そうならないためにも、プランナーの人選や教育方針を再考し、正攻法ともいうべき人材の魅力やスキル、商品価値で決定率を高めることを目指したほうが将来的には賢明だと思う。

 

 

 

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