連載記事2016年1-1 ウエディングって

連載記事

ウエディングって

ウエディングと一言で言っても様々な観点から様々な見方が出来る。一つのウエディングを作り上げる為には、本来多くのジャンルのプロフェッショナルが、一丸となって作っていかなければならない。ウエディングにはそうしなければならない理由があるからだ。

一般的にウエディングと言えば、挙式と披露宴の2つをさして言う。

挙式スタイルとしては、神前式、キリスト教式、人前式、仏前式、自宅婚式の5つのスタイルがあるが、現在では神前式、キリスト教式、人前式がおおよそ2:6:2の割合で行われている。30年ほど前には、仏前式も今のように少なくなかったし、神前式がメインで全体の約70%を占めており、まさに日本の伝統的な結婚式と思われている挙式が主流の時代であった。神前式は、明治33年大正天皇のご成婚の際に、現在の東京大神宮で神前式を行ったのがブームのきっかけとなり一般庶民にも広まったものだ。しかし、バブル崩壊とともに、ブライダルにおける日本の文化は、変容せざるを得ない状況になってしまったのだ。

海外の挙式は、全てではないが、宗教儀式を基本にその人が信仰する宗教のスタイルで挙式することが多く、他の通過儀礼においても同様のことが言える。

しかし、日本は良く言えば宗教には寛容で、生まれてから1ヶ月ほどで、本来、氏神である神社に赴き、健やかな成長を願うお宮参りを行い、結婚式はキリスト教で挙式し、天に召されときは仏教で葬儀が執り行われることが多い。神道、キリスト教、仏教と一生の重要な通過儀礼を様々な宗教で執り行うのは、世界広しと言えども、このような習慣は日本人だけであろう。

宗教は、時に平和を乱すことも多く、中東などは常に戦争状態だが、表面的には聖地エルサレムの奪還のためにキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の3宗教が戦争を起こしているといわれている。

日本には、八百万の神という独特の考え方があり、この考え方こそ日本が平和でいられる一つの大きな理由かも知れない。

また、海外では披露宴をReceptionというのが一般的だが、挙式とは全く違う位置づけにある。日本でウエディングと言えば、どちらかと言うと披露宴に重点が置かれているが、海外では逆の場合が多い。

日本の披露宴は、スタイルから言うとディナースタイルが多く、殆どが着席スタイルである。午前中でも、午後でも、夜でもすべてディナースタイルで料理はフルコースだ。これは、装置産業におけるご祝儀に起因し、実際には結婚費用の一部負担という目的もあり、また平均1人3万円という慣習的なご祝儀の額が原因とも考えられる。しかし、ここ10年ほどは、1.5次会などで立食スタイルも多く、2次会では殆どが立食である。海外では、時間帯によって食事の内容やスタイルが異なった披露宴が行われている。

欧米の挙式の現状

欧米では、宗教儀式における挙式だけでは、結婚の法的要件を満たさない場合が多い。日本では、婚姻届に結婚する二人と証人2人の署名・捺印をした婚姻届を提出さえすれば、法的に結婚が成立する。しかし、欧米では、CIVIL WEDDINGという日本でいう役所で宗教色を排した挙式をすることが必須である場合が多い。英国では、キリスト教の世界4大教派の一つである英国国教会が国教であるため、英国国教会で挙式した人はCIVIL WEDDINGを免除される。しかしながら、結婚する際に、GIVING NOTICE(ギビングノーティス)という制度があり、その二人が結婚出来るかどうかは役人との面談の結果に委ねられ、これに通らないと役所での挙式はできず結婚が法的に認められない。認められた時にはBANNS(バンズ)といい、新郎・新婦の氏名、住所などの個人情報が教会の前に挙式までの3週間貼り出される。これは、国籍取得目的の偽装結婚などを防ぐという目的も大きい。その国の状況によって結婚に関する法律も様々だが、純粋に結婚という行為に対して祝福し、結婚を促進するということが、文化や伝統という形で伝承されている国も多い。

 

 

こちらもご覧ください

最近の記事

TOP