連載記事2016年1-2

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ウエディング業界の変遷

1989年バブルが崩壊し、それまでの終身雇用というスタイルは急激に姿を消し、その結果日本の全てが変貌してしまった。同時に会社はそれまでの経済大国日本を支えてきたであろう職人、すなわちスペシャリストの存在を様々な理由からゼネラリストにしようという動きが一般化した。換言すれば、職人のサラ―リーマン化だ。このことが、日本の経済を更に悪化させたのではないだろうか。その結果、ブラック企業という言葉も出現したが、プライドも情熱もない時間に縛られた労働者は、無償の時間外労働をさしてブラックということがあるが、私が18年間過ごしたホテルでは、時間外労働は、当たり前のことで、それよりもパッションとモチベーション、そして顧客の満足を最優先していたので、ブラックなんて思うことは本当になかった。ただ、理不尽な仕事や上司からの指示に頭を悩ますことは、今以上に多かったと思うが、そういう上司にも愛情は十分感じていた。このような経緯で、世の中に技術系を除いては、プロフェッショナルの存在が不要となり、ゼネラリストという一見何でもこなすように見える存在が重視されるようになったが、何でも出来るように見える人は、実は、何にも出来ない人であり、顧客を満足させられる存在ではない。人は万能ではない。そんなにたくさんのことをプロフェッショナルの領域で出来る人はそうそういるはずがない。

ウエディング市場を見てもプロフェッショナルの存在は激減している。バブル経済崩壊後、ブライダル市場もあらゆる面で変化したが、特にこの15年間は会場数も増えたため、ブライダル市場の様々な人材の増員が必要となり、装置産業という特性をもつブライダル企業は、人材確保を余儀なくされた。しかし、会場数は増えるが、挙式・披露宴の施行数は毎年減少し、本来現場のプロの育成が必要であったが、結果として件数・売上・売上重視の営業を優先した結果、スタッフの頭数確保がメインとなってしまった。本来サービス業とは、生涯顧客という一生お付き合い出来る自分もしくは企業の顧客を確保することが、ビジネス継続の本質だと思うが、一生に一度というウエディングにおけるキーワードと利益追求というワードが目的によりうまくコラボした結果が現在のウエディングビジネスと言える。勿論一部ではあるが、大切な新郎新婦に結果的に悲しい思いをさせてしまうことがある。

このような現実が無婚を増加させる一因にもなっており、結婚という本質を知り、一度企業目線をリセットし、顧客目線で結婚ビジネスを構築し直し、なんとか無婚を減らし出来るだけ多くの人たちが挙式・披露宴を行うことが出来る環境を構築しなければならないのが、今の日本の現状ではないかと思う。

 

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