連載記事43 社員のHOWを生かし安定経営を

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何か物事を頼まれたり、仕事でお客様から無理難題をリクエストされたりした時、瞬時に何を考えるかで、その人がお客様に対してどれだけ真剣に向き合い、また、サービス業に限らず仕事人としてどれだけ能力があるか、ひいては、会社にどれだけ貢献できる人材かということが判断できる。

それがどんなことでも、リクエストされたことに対して、「なぜ」「どうして」と考えるか 、「どうやって攻略しようか」と考えるかの違いだが、whyとhowの違いといった方が分かりやすいだろうか。この、瞬時の直感的な考え方が、顧客満足度を高められるかどうかを大きく左右する。婚礼の決定率ということで言えば、アップするか否かの分岐点となる。

但し、瞬時にどう考えるかという感性は、ある種先天的なものでもあり、あるいは、育った環境から自然に身に付いたものでもある。従って、その人自身で変えることは難しく、変えるためには相当な努力を要するので、一朝一夕に出来ることではない。

それでは、whyとhowとは、本来どういうものなのであろうか。

物事を学ぶプロセスで「なぜ?」と疑問を持つことは、非常に重要なことである。言葉をしゃべり始める頃の子供は、一般に好奇心が旺盛で、周囲の事に多くの疑問を抱き、「なぜ」「どうして」と周囲の大人に疑問のシャワーを浴びせ、吸い取り紙のような吸収力で、知識を吸収していく。

 

大人になると、「なぜ」と思った瞬間から様々な疑問が自分のなかで渦巻き、向学心の強い人なら「なぜ」がどんどん増幅していくだろう。そういう人が多くの物を知り、結果的にビジネスにも大きく貢献していくことは間違いないが、しかし、この段階の人は、貢献できる完成度からすると、プロに到達するプロセスに過ぎない。

一方、「どうやって」と考えることは、「なぜ」という疑問を越えたところの考え方で、いわゆるプロとしての考え方である。

明らかに、whyはビジネスのプロとして考えた時には、まだ熟成していない段階の発想であり、whyの発想を瞬時に持つことは、ビジネスに対して後ろ向きになってしまう傾向が強い。

ビジネスのプロは、どんなリクエストに対しても、その素材をどうやって料理しようかと目を輝かせ、「how to」を考え始める。

そこには、「なぜ」「どうして」という発想は必要なく、それが顧客のニーズならば、何であろうと、どうやって具現化しようかと考えるのが、本来のプロの素養であろう。

しかし、そのように考えることが出来る協力的な環境や人がいなければ、「how to」を生かすことは出来ない。

直感的にhow と考える社員がいたとしても、会社が事なかれ主義など前向きの姿勢がない体質だと、社員のモチベーションは潰れてしまう。

一方、ブラック企業と言われる企業では、whyもhowも考える必要がない。すべて企業側の都合で、その落としどころが決まっており、そこには、for the customerが本当に増収増益に繋がるという考えは存在しない。企業の都合を最優先したマニュアルがあるだけだ。

現状のホテルには、業績がダウンしているにも関わらず、過去の経験や実績にとらわれすぎて、トレンドやニーズに答えることが出来ないところが多く見受けられるが、今後はビジネスという視点で、市場の現状を理解し、それ相応の対処をしていかなければ、どんどん取り残されてしまい、気づいた時には手の施しようもないというような状態に陥ってしまうであろう。

社員からhowを取り上げ、自分の首を絞めてはいないだろうか。

企業はこの現実にしっかりと目を向け対策していかなければ企業存続も危うい状況になる。逆に、その環境や人のモチベーションを維持することが出来れば、安定した経営が出来るようになるはずである。

 

 

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