連載記事56 こだわりを持ち、人間関係をしっかりと

居酒屋チェーンが総じて苦戦している中、ある大手が上場初の赤字決算となった。原因は若者の酒離れだというが、どうも世代の特性に原因があるらしい。「消費をしない」「上昇志向がない」など、消極的な性格を持つさとり世代層の消費志向がその一端を担っているようだ。

 

さとり世代は、不景気しか知らず、消費することに慎重で、競争することとは縁がなく、ネットいじめを経験し、人間関係に敏感で、空気を読むことに異常に気を使う。目立つ行動をしてイタイと言われることが怖く、無駄に思えることやリスクを伴う行動はしないという。

 

もうすぐ適齢期を迎え、我々の顧客となるこのさとり世代に関して、興味深い記事をいくつか目にしたので、ご紹介したいと思う。

 

最近の若者は、ビールを飲まなくなっているらしいが、私も最初に飲んだ時には、苦いだけで美味しいとは思わなかった。場の雰囲気で強制的に飲まされているうちに慣れて好きになる人も多いと思が、美味しく感じないものをなぜ無理に飲む必要があるのかと、そこに大きな疑問を持ってしまうのがさとり世代である。

 

この世代は、適当に酔えて長時間飲み続けるのが理想的なスタイルで、飲み放題といったサービスにはあまり魅力を感じない。換言すれば、アルコールというモノから、仲間と飲むというコトに関心が移っており、「コト消費」ともいわれている。

 

さとり世代は、ソーシャルメディアを非常に意識して生活しており、友人と遊びに行くときは、そのネタがどれだけ「いいね」を集められるかが、大きな動機になる。たとえば「メディアで話題のカフェでスィーツを食べる」ことは自慢が出来るが「居酒屋でビールを飲む」ことではネタにならないらしい。

また、自分にとって価値の高いものを買おうとする意識も強い。

 

アメリカで13店舗を展開し、サードウェーブコーヒーとかコーヒー界のアップル、フェラーリ並みのコーヒーと言われており、日本進出の予定もあるブルーボトルコーヒーの話を聞いたことがあるだろうか。

 

そのように呼ばれる理由の一つは、チェーン店でありながら、その地域に溶け込み、画一化されていないことだ。カフェ内で150ドル払えばバリスタにコーヒーの本格的な入れ方を学べたりもするし、これまで流行していたチェーン店には無い「美味しいコーヒー」を目指している。

ブルーボトルコーヒーが目指しているのは、コーヒー主体で、ソムリエとワインの話をするように、客がバリスタとコーヒーについて語るコーヒーのレストランだそうだ。

 

私も10年ほど前に、大病を患って1年半ほどの静養中に、大学時代の4年間で10万杯以上はネルドリップでコーヒーをおとしていた昔取った杵柄(きねづか)を生かし、念願の喫茶店を開店し、豆や抽出にこだわり、ネルドリップで1杯1杯おとすコーヒーを1杯550円で販売していたことがある。

田舎町の喫茶店で、そんな高い金額で販売しているところは少なかったが、口コミで遠くから来てくれるコーヒー好きの方もいて、私のコーヒーの薀蓄を真剣に聞いてくれた表情を今でも思い出す。

 

現状のブライダル市場を見ると、どうもこだわりや薀蓄(うんちく)、人間関係といったものが乏しいように思う。

「最高100万円割引」などの広告をよく見かけるが、長期的なデフレ経済だったとはいえ、そのような手法が、本当に顧客のハートを掴んでいけるのだろうか。

世の中は、ただ「安い」「お得」というだけでは顧客を捕まえることはできない時代になりつつあり、クォリティやヴァリューの高さを訴える企業が注目されてきている。混沌とした競争から一歩抜けだそうとしている企業がどのような取り組みをしているのか、ブライダル業界も参考にすべきであろう。

 

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