連載記事17確実で可能性の高いビジネスを再考するとき

ホテルの宴会の考え方について確認してみたい。
私が経験した時代のホテルにおける宴会の考え方は、「葬儀・告別式以外」は何でも行うのが、ホテルの宴会ポリシーであった。

バブル崩壊以降、一般企業の業績の低迷に伴い、ホテルで行われる一般宴会の件数も単価も急激に落ち込み、宴会部門は、売上の回復の為には単価の高い婚礼に頼るしかなかった。そのプロセスの中で、2000年位から婚礼と一般宴会を完全に分離し、更に婚礼をスタッフの適性によって新規係と打合せ係に分離するホテルが増えた。決定率の高いスタッフは新規接客係に配属し、そうでないスタッフは、打合せ係に配属されたのである。

ビジネスにとって個人の適性は確かに重要であり、それまでもホテルには、宿泊、宴会、料飲、営業の4本柱の人材適性は存在していた。しかし、婚礼件数がここまで減少している中、ブライダル特化、更には新規と打合せの分離という人員配置の考え方を、改めて原点に戻って考え直してみる必要があるかもしれない。獲得至上主義のゲストハウスの営業方針は、全てが正解というわけではないであろう。

以前の宴会予約のスタッフは、婚礼も一般宴会も両方行うというのが当たり前であった。土日祝日は婚礼業務を行い、平日は一般宴会を行う。約15名に満たないスタッフで、年間婚礼700件、一般宴会2,000件以上をこなすというのは、業務としては当たり前の事であった。
現在では、婚礼200件くらいの施行にも関わらず、婚礼スタッフが10名もいるような羨ましい環境もあるが、それでは企業の利益など生み出すことは出来ない。

人員削減ということだけではなく、過去に当たり前だった業務内容は、宴会予約スタッフにプロとしてのスキルを身に付けさせる結果となり、業務の処理能力も現在のそれに比べると、格段の差があったし、いわゆる職人としてのノウハウを習得しており、同時にマニュアルも身についていたのが、過去の宴会予約スタッフであった。

言うまでもなく、ホテルの収入はおおむね宿泊・料飲・宴会の3部門から構成され、一般的には、GОP比較の中では、宴会それも婚礼部門が一番低い。それは、手数料収入である付帯収入の売上が、婚礼全体の半分以上を占めるという収入構造から容易に理解できる。

今でこそ手数料は、ゲストハウスや専門式場の影響を受けて上昇しているとはいえ、平均するとホテルではせいぜい30%~35%であろう。ゲストハウスや専門式場は限りなく50%に近いが、これは、ヴァリューが大切な時代に反する状況であり、この方向へ進むべきではない。

また、ホテルの中で議論されるのが、原価率であり、ホテル売上の中で原価率の低いのは、やはり宿泊で、一時期のITバブルの時期は、宿泊部門のGOPが、75%という信じがたい数字をたたき出したホテルもあった。確かに、もともと宿泊主導型ビジネスのなかで、宴会部門を含むFB部門は、GOPが低いと言われ、婚礼があるがゆえに、宣伝広告費が高く、バブル崩壊後のホテル宴会部門の低迷期には、上記の理由から婚礼部門の宣伝広告をやめた結果、最盛期には750件の婚礼が100件足らずになったホテルもある。

しかし、ビジネスは、利益率だけで考えることは出来ない。婚礼1件のGOPが仮に30%としても、1件330万円の婚礼は、約100万円の儲けがあり、これを1ルーム25,000円の宿泊単価として、GOPが仮に約70%としても約60ルームを売らなければならないことになる。

そう考えると、どっちが確実で可能性が高いかという問題にもなるが、これからの時代にホテルが婚礼で勝負するとすれば、ホテルの持つ宴会や宿泊の中に、いかにブライダルをうまく取り込んでいくか、今一度原点に立ち返り考えるべき時ではないだろうか。

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