連載原稿66 「人材育成」と「業務フローの確立」の欠如が生産力不足を引き起こす

最近、ブライダル業界のいろいろな人から、「どうしてこんなに人がいないのか」と聞かれる。ブライダル業界は、どう考えても縮小しているはずなのに、どこへ行っても、誰に聞いても、人手が足りないと言う。

 

この現象は一体どういうことなのだろうか。景気が良いと人手が不足し、景気が悪くなると人が余るというのがこれまでの常識だが、今、確実にビジネスは縮小しているのに、人手が足りないという現象が起きているのは事実だ。

 

それを、私はこれまで、人の使い方にある、つまり企業がブラック化した結果、夢破れ、その業界から離れてしまったためと理解していた。

しかし、それだけではなく、どうも歴史的にドラスティックな構造変化が起きているようだ。

 

以前、ある居酒屋チェーンが1割に当たる60店舗を閉店し、その従業員やアルバイトを近隣の店舗に振り分けた話を書いたことがあるが、これも、この店だけにとどまらない慢性的な人手不足による従業員の労働環境の悪化が原因のようだ。この店では、今年の4月、新卒を240名採用する予定だったが、120名しか採用出来なかったらしい。

また、ある飲食店チェーンでは、人手不足により、一時期100店舗以上の休業や営業時間の短縮が行われたという。

 

ある小売業界の大手も、3万人以上いるアルバイトの半分以上の16,000人を正社員化しようとしており、マスコミは、人手不足の深刻化として報道しているが、どうもこれは、5年ほど前からの傾向のようだ。

 

では、この慢性的な人手不足がどこに起因するかということだが、その根源は、少子高齢化にあるようだ。日本の高齢化は、世界的にも突出しており、平成22年の高齢化率は、1位が日本の23.02%、2位がドイツの20.38、3位がイタリアの20.35で、主要18ヶ国の最下位がアメリカの13.06であった。

 

このように生産人口が減少する一方で、平均寿命と退職年齢との差が20年以上あり、この差が後追い的に生産人口を減少させるのだ。製造業のような「モノ」の市場では、海外生産といった手もあるが、「コト」の市場、つまり「~をするコト」を提供しているサービス業の多くは、この20年分のギャップにより、構造的な人手不足が生じるという。

 

今のように人間が長生きした時代は過去になかったのだから、労働需要に予想外の構造変化が生まれても不思議はないと思う。

 

これまで、我々には、高度経済成長で急激に需要が増えたため人手が不足し、バブル崩壊で急激に需要が減ったため人手が余ってしまったという経験に基づく思い込みがあったが、今や、売上は横ばいもしくはマイナスでも、人が足りない現象は起こり得るのだ。

 

しかも、過去には、労働力のひっ迫が経済規模を決めることはなかった。従来は、ビジネスボリュームの変化は、ある程度人材スキルで調整出来たが、現在は、その調整がきかなくなったようだ。

例えば、ウエディングの世界でも、勿論会場の規模によるが、年間に50件の婚礼が増えたからといってスタッフの増員をすることはなかった。それはスキルで補うことが出来る範囲だったのだ。ところが、婚礼業界では、この15年間で市場が大きく変わり、施行数は半減しているが、婚礼特化型施設は恐らく40%近くは増え、それにより、労働力の分散化と現場にプロがいないことにより、人手不足は危機的状況に近付いている。

 

しかし、生産人口の不足による労働力不足という根本的問題が今後更に加速していくことは自明である。ではどうするのか。

もう、人材を「無駄遣い」したり「使い捨てる」のではなく、「育てる」ことや「システマティックな業務フローの確立」によって業務を効率化し、1人あたりの生産力を上げるしかない。企業は、このことを肝に銘じるべきであろう。

 

 

 

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