連載原稿65 ブライダルビジネスの安定は、本質的な教育から

アメリカの各誌が大絶賛し、ロングセラーとなっている『米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方』という本がある。

 

この中で主張されていることは、エンパワメントつまり権限委譲である。私も何度か紹介してきたが、時代が変わっても、状況が変わっても、盤石な組織を作るためには、結局ここに行きつくのではないかと思う。つまり、組織の成長と安定にとって、エンパワメントという考え方は必要不可欠なのである。

 

私は、15年ほど前に、横浜のホテルのオープンに関わったが、そこは正にこの考え方を地で行くホテルであった。

 

このホテルのオープニングメンバー3名と、ここ1カ月程の間に、別々の場所で偶然出会ったが、3人が3人とも、当時のメンバーでもう一度仕事をしたいと切望していた。勿論私も同感だが、皆、あのような環境は他の何処へ行ってもあり得ないだろうと言う。

 

このホテルのオペレーションが、どのようなものであったか少しご紹介しようと思う。

エンパワメントを実現するためのポリシー&プロシージャのなかで、筆頭格は、逆ピラミッド組織の考え方であろう。

 

通常、組織は、頂点に一人、社長がいて、その下に副社長、役員、各部署の責任者、その部下に当たるアソシエイツで構成されている。しかし、このホテルでは、組織の上下が逆になっており、このことは、まさに権限の委譲を意味していた。

 

一番情報を持ち、顧客に常に接しているのはアソシエイツで、そのアソシエイツこそがエンパワメントの実現の鍵を握る。一般的な組織では、彼らはピラミッドの底辺となり、通常は自らの裁量による決定権を有さないが、権限委譲を行える組織では、アソシエイツの職能技量が高い水準にあり、お客様に対する交渉事の決定権を与えられる。ここでポイントとなるのは、決定権を持つということは、逆にいえば、判断を必要とする問題をいつお客様から投げられても、即答できる能力がなければならないということである。

 

先日、とある上流の奥様とお会いした際、その奥様が、「私は、世界中の一流ホテルを利用しているが、先日、日本で超一流と言われる外資系ホテルに泊まった時、この娘(こ)でも十分に答えられることだと思って質問したら、マニュアルなんでしょうね?メモを取りだし散々聞いた挙句、只今上司に確認をして参りますといったきりなかなか戻ってこなかった。」という。「谷藤さんもホテルマンだったんでしょう。ちゃんとホテルの教育をしなきゃ駄目よ」と怒られてしまったが、こんな状態で、エンパワメントを実行したら、それこそコンプレインだらけとなってしまうだろう。

 

盤石な組織を作るには、エンパワメントは必要不可欠ではあるが、その大前提として、レベルの高い教育を施し、それが身についていることが条件であることを理解しなければならない。

 

当時、私のいたホテルでは、全ての従業員が高いスキルを目指し、仕事に対する満足と愛社精神を持ち、それによって醸し出されるホテル全体の活気と心底からのサービス精神が顧客満足へ繋がり、そしてまた従業員満足へと循環していたように思う。

 

しかし、この15年間のブライダル業界は、ビジネスが先行し、教育が欠落し、今では、会場にプロを育てる教育の存在自体が無い。そのため、教育を外部に依頼する動きが増えているが、そこでは、「婚礼の本質」と相反する、「営業手法」ばかりが重視注目され、しかも、「教え育てる」教育ではなく、単なる「訓練」に過ぎない。エンパワメントなど、そこには入る余地もない。

そろそろ、婚礼の本質をしっかりとらまえ、根源的な教育を行わなければ、ブライダルビジネスの安定と継続は無いことを再認識すべきであろう。

 

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