連載記事8 商品を販売する側のあるべき姿

婚礼を受注できない理由に、会場が古いことを挙げる会場が多いが、私が見るかぎり、ことホテルに関しては、受注できない理由の殆どは、会場が古いことではないように思う。会場が古いことを理由にするのが、会社に対して説明し易いし、言い訳としてそこへ逃避しているだけである。

ホテルの施設が古くなると婚礼受注が思うようにできなくなるというのは確かに現実である。しかし、定期的なメンテは勿論必要であるが、リニューアルイコール増益という時代ではないように思う。なぜなら、市場のパイは縮小し、新設会場は増加しているため、1会場の割り当て件数は100件を割っている現状で、リニューアルしても以前のような新規受注効果はあり得ないからである。リニューアルは、かける金額と回収できるであろう金額を十分に考慮した上で行わなければ、投資損になりかねない。その施設が、歴史を感じる施設であるならば、リニューアルよりも、受注できるための社員教育に費用を使った方が得策の場合もある。

現状のブライダルを見ると若いスタッフが目立ち、特に婚礼特化型会場の勤務期間は、平均2.5年とも言われている。つまり、婚礼特化型施設では、プロフェッショナルは育たず、人材の使い捨てとも言える状況ということである。販売する人たちに「婚礼のプロフェッショナル」としての知識も経験もないことが、ハード偏重の時代を招いてしまった一因ともいえる。

いつの頃からか、ブライダル業界で「即決」という言葉が流行り出した。「即決」した人は凄いと褒められ、いかに即決を多く取るかがビジネスの肝になっている会場もあるが、顧客満足ではなく、「即決」の単なる数を自慢するような会場は、いずれ竜頭蛇尾となっていくことは間違いない。なぜなら、「即決」ということ自体がブライダルの本質から大きく外れているからである。

つまり、「即決」は、会場の都合であり、お客様の都合ではない。本来、商品を買って頂く側は、あくまで買って下さる方にとって良いように接し、「説得」ではなく「納得」頂かなければならないはずだ。そこが本質のはずである。しかし私が現状を見るかぎり、「無理やり説得」が非常に目立つ。

本質とは、水のようなもので、上から下にしか流れない。しかし、今の一部の婚礼は、その水を逆流させている。逆流させると、エネルギーが2倍、3倍かかるため、無理や負担も大きくなる。やはり水は上から下に流すべきだと思う。

私の協会であるIWPAのフリーランスウェディングプランナーの平均年齢は、30代後半であるが、そのフリーランスとお客さまの関係を見ていると、プランナーからお客様に対して「申込みなさい」と言うようなことは無い。しかも、会場が全く決まっていない段階で、契約が成立している。決定の最も重要なポイントは、プランナーが自分たちの披露宴をどれだけ真剣に考えてくれるかであり、そこに納得してお客様が主体的に依頼するのである。

会場の検討行動において、お客様は最終的に3会場を訪問し、1~2会場に仮予約を入れ決定するという調査結果が公表されている。中でも、1件目に訪問した会場に決定するお客様が圧倒的に多いという。しかし、この卵が先か鶏が先かわからない事象の、結果だけを見て、傾向がそうだからとそこへ殺到するのが本当に正しいのだろうか。大手メディアが行う、いささか我田引水の行為に振り回されて、市場でビジネスを行う企業人が右往左往していないだろうか。

私は、ホテルを去った身でありながら、ホテル大好き人間であり、ホテルの人達には、是非自力で市場を的確に見抜く目を持って頂きたいと願う。メディアより、いつもお客様と接している方のほうがプロフェッショナルなのだから。

 

 

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