連載記事7:演出が結婚式の良し悪しの尺度ではない

披露宴を終えた直後の男性とたまたま話をしていたら、「やっぱり披露宴なんか、やらなきゃよかった」というので、どうしてと聞いてみた。その男性は、5度ほど友人の披露宴に出席した経験があり、会場には庭やプールがあって確かにきれいだったが、全く中身のない披露宴だったので、自分は披露宴をやるつもりはなかったというのだ。しかし、新婦の強い要望があり、結局友人たちと同じような施設で披露宴をしたが、やはり後悔しか残らなかったとのことだった。演出過多な挙式も、次々と薦められた披露宴演出も、やっている当人にさえ感動が無く、結局つまらなかったというのである。

本質を考えることが大切な時代にあって、未だに結婚式を「演出」と考えている人たちは多い。ただただ金儲けの手段として考えている輩は、多くの「演出」を考えて売ればビジネスになると考える。その結果、現代の若者にとって魅力がない結婚式になってしまい、結婚式をしない人が婚姻数の約50%にもなってしまった要因の一つになっている。

ある有名一流ホテルで挙式・披露宴を行う新婦父と話す機会があり、その方は、わりと有名な会社の社長さんだが、「やあ、参りましたよ。最初の見積が400万円だったのでまあそんなもんかと思っていたら、最終見積で800万円を超してしまって。」と苦笑していた。どうしたらホテルでそんなことが起きるのかと、最初は驚いたが、会場名を聞いて合点した。

普通のホテルではあまりそういうことは起きないが、そこは婚礼特化型施設が婚礼部門のオペレーションに入っているホテルで、同様な苦情をたくさん聞くんですよと教えてあげると、「そうなんですか、だからか!」といろいろ合点がいったようだった。この社長さんは、業界に近い位置で仕事をされているので、全く業界を知らない人ではない。

私は、この販売方法にどうしても納得することが出来ない。400万円の見積が800万円を超えるなら、外資系ホテルのように、最初から800万円の見積を出すべきだと思う。私も16年近くもホテルの現場で働いてきた経験者として、また、サービス業に従事していたものとして、このようなやり方に非常に憤りを感じてしまうが、このままで良いのだろうか。

ホテルは本来、地域社会に貢献し、生涯顧客を確保しなければ、ホテルビジネスとして成り立たないはずである。ホテルにとって生涯顧客は欠かせない存在であり、ブライダルの顧客は、最も生涯顧客になり易いのである。

婚礼特化型会場は、当たり前だが、婚礼以外の収入が無いわけだから、婚礼を受注できなければ、会社の前途はない。だからと言って、何でもやっていいということにはならないだろう。

ホテルが、その顧客を失うようなオペレーションをしては、それこそ将来の顧客を失い、気づいてみると草木も生えない荒野となってしまうだろう。ホテルには、ホテル感覚のオペレーションがあるはずだが、それを無視して、目先の利益に走り、ブライダル部門を外注してしまうホテルが目立つが、これでは、戦う前に白旗を上げているのと同じである。

ホテルマンにはもうプライドはないのかと嘆かわしくなる。

400万円の見積が800万円になるような事例では、いくらお客様が最終的にGO出しをしたと言っても、喜んで受け入れている人は殆どいない。現状の特に婚礼特化型会場のプランナーは、金銭感覚が麻痺しており、800万円の重みや意味を理解しておらず、単に1件の売上単価を競い合うなど、方向が全くお客さまの方向を向いていない。これでは、顧客満足など得られるはずなどない。

やはり、プランナーと新郎新婦は信頼関係で結ばれていることが理想像であり、新郎新婦もそれを心から願っているはずである。

 

 

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