連載記事3:ブライダルの広告・PR

バブル崩壊以降、何がどう変わったかは一概には言えないが、人の心がすさんでしまったことは間違いない。バブルは、人を豊かにもしたが、人の心をゆがませもした。また、バブル及びその崩壊は、ブライダル業界に、またブライダルそのものにも非常に大きな悪影響も与えた。

 

1993年は、ビジュアル系婚礼雑誌の創刊が相次いだ。それまで新郎新婦は、式場探しを婚礼エージェントに頼っていた。しかし、ビジュアル系婚礼雑誌が創刊されてからは、エージェントの立ち位置は変化し、衰退へと向かった。

丁度このころから、顧客のニーズは多様化し始める。その多様化に対応できなくなったのが当時のホテルであり、基本的な知識はないが、ゆえに何でも対応したのがプロデュース会社であった。どちらかというと閉鎖的なホテルと開放的なプロデュース会社との間で、儀礼である婚礼の進む方向が分かれて行った。婚礼雑誌も当時はグレードがあり、ホテルはその掲載に制限をしていたところもあったが、ブライダル雑誌そのものが独占状態になっていき、グレード感の違う会場が一つの雑誌に混在するようになって十年以上になる。

 

今までは、独占しているビジュアル系婚礼雑誌に掲載することが、唯一の宣伝広告だと思ってきたブライダル部門の責任者の方も多くいらしたようにお見受けする。件数が落ちたのは掲載ページが少なかったから。会場のリニューアルをしていないから。施設が古いから。婚礼件数を上げられない理由を述べるのは簡単だった。しかし、本当にそうなのだろうか?

2倍のページを掲載すれば、来館数が2倍に増えるということではない。でも少しでも増えることを期待して広告費をつぎ込む。婚礼市場が大きい時は多少なりとも効果はあったが、現状のような市場では効果は期待できない。

 

雑誌の掲載料は高く、さらにweb掲載も強制的であり、紹介カウンターでは決定するとFBの10%のコミッションが必要となる。この一連の宣伝広告費が年間施行件数の少ない会場では、その経営を圧迫している。1件の会場に対して挙式・披露宴を行うカップルが100件を割っている現状で、どれくらいの宣伝広告費をかけられるかを明確にし、掲載の再考をする必要がある。

 

挙式・披露宴の実施件数が60万組、70万組あった時代はすでに終わり、小さな市場からなんとか顧客を捕まえなくてはならない。紙媒体は費用が高いとなると、どうしてもWEB志向になりがちだが、WEBとて非常にグレーな部分が多いため注意が必要である。今やどんな業種でもWEB対策は必須であるが、情報や企業が氾濫しているため、その対策方法の選択が非常に難しい状況になってきた。弊社も15サイト以上のWEBサイトの運営を行っており、SEO、リスティング、LPO(ランディングページ最適化)、スマートフォン最適化等の様々な対策の検証を行っているが、かなり戦略的に対策を講じないと、ビジネスには繋がらないのが今のWEBの難しさである。

 

現代はスマホ時代であり、若者はFacebook、ツイッター、LINE等を使いこなし、新郎新婦のITリテラシーはどんどん向上している。この時代の中にあり、会場も、他社媒体を介してではなく、自社で直接新郎新婦に訴求できなければならない時代になったのである。

 

例えば、リスティングでランディングページに落とし込み、来館につなげるという手法がある。ページ制作費用は、紙媒体に比べ相当低く、リスティング広告費用は、ロングテールと言われる複合ワードで行うことで、ビッグワードに比べかなり低費用で、しかも、その会場の狙いたい層に対して広く訴求できる。年間婚礼実施件数の多くない会場にとっては、低費用で費用対効果が非常に高い手法として、検討する価値のある選択肢であろう。

 

 

 

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