連載記事2016年7-2 今後のウエディングに求められるもの

連載記事

今後のウエディングに求められるもの

(プロの技で感動を感じさせる。本物の提案と啓蒙の重要性)

結婚式を増やすためのソリューション

最近、会費婚とかご祝儀婚といったような言葉に興味を持つ人は多く、以前と比べてこの類の結婚式をおこなう人は増えているように思う。こうした結婚式を積極的に販売している会社もあるが、今一評判が良くない。なぜなら、企業として利益を求めるのは当然のことだが、必要以上の利益を求めるからだ。それも1つの婚礼を2つの会社で通常の利益を確保しようとする結果からだ。ならば、1つの会社が一つの婚礼を行えばいいのだから結論は容易だ。しかし、既成概念というものがあり、今まで、1件婚礼を行うと例えば、100万円の粗利を得ていた企業は、その利益を50万円にして2件取ればいいという発想にはなかなかならない。これを、企業のロスと考える人も多いはずだ。しかし、ホテルなど生涯顧客を重視している会場では、件数増は、生涯顧客の増大に繋がり、その派生収入も多いはずだ。

1件が2件になると、全ての労力が2倍になると考えがちだが、必ずしもそうではない。

実施件数が多ければ、食材原価や人件費など確実に下がるものもあるからだ。

しかし、実際にそんなことが可能なのだろうか?私は、ホテルの宴会部で15年以上のマネジメント経験をしてきたが、十分可能だと思う。

具体的に言うと、平均3万円のご祝儀で80名以上ならば可能なので、80名の出席者を確保頂ければ、新郎新婦の持ち出し0円で出来ないことは無い。参列者の人数を増やすことは、ダイレクトに会場の売上に繋がるし、披露宴の本来の主旨も満たされる。特にホテルや専門式場では、一般宴会というカテゴリーがあり、そのレベルで料理や飲物原価を考えると確実に一人3万円のご祝儀で実現出来るのである。

企業は利益追求が重要であることは間違いないし、そのことを否定することも出来ない。しかし、宴会部門の中で、利益額の多い婚礼なので、その利益が半減したとしても十分にビジネスとしては成り立つはずだ。前述したが生涯顧客を増やすことは、派生ビジネスが増えるからだ。従来の利益を上げようと思うと現代の婚礼ビジネスは非常に難しくなるが、利益率の見直しをすれば確実にお客様は戻ってくるはず。

実際に、お客様に「ご祝儀の範囲内で結婚式が出来るからやらない?」つまり、「新郎新婦さんの持ち出しは0円ですよ。」って言ったら、無婚層の大部分の人たちは、「やりたいです。」と答えるはずだ。

婚礼商品の性質と婚礼文化の伝承

婚礼ビジネスは、売上の半分は外注品であり、例え会場の利益が減ったとしてもブライダル業界の売上は、無婚を亡くすことが出来たら、相当な増収に繋がるし、ブライダル業界も以前のように活気づいてくると思う。

結婚式は文化であり、そこを生業としている人たちには、その文化を継承する義務があると思う。消費者が時代と共に変化していくと同時に、会場の対応も変化してきた。しかし、本来、文化を継承する者は、文化を変質させてはならないことから、時には顧客のニーズに対しても迎合しない毅然とした対応も必要である。しかし、「For The Customer」とういう気持ちが持てなくなるようなビジネススタイルを実践したがために、顧客の理不尽なリクエストにも屈服しなくてはならない場面が増え、打合せも顧客主導となり、プランナーとは名ばかりの存在となっているところも少なくない。

文化を継承、伝承していくには、プロの技術やノウハウが存在しないとなかなか難しい現実がある。現状ではそのプロが殆ど存在していないという現実があり、結果として結婚式とういう文化が、どんどん消費者目線の強いものになり、結果として、現場が荒廃し、文化の継承などというレベルではない。

顧客目線は、換言すれば「素人目線」であり、顧客ニーズや顧客ウォンツは、特に現代のウェブマーケティングビジネスにおいては非常に重要だという認識を私自身も持ってる。しかし、人が本当に感動するものは「本物」しかなく、非日常行事である結婚式に関しては顧客は素人なので、何が本物なのか、何が本質なのかを理解出来ず、現場にプロがいなくなった今、それを顧客に教えてあげることも出来ないのだ。

その結果、ブライダル業界は、ますます素人化が進み、混沌とした状況になってきた。今こそプロが立ち上がり、結婚式という文化を継承、伝承していかなければならないのではないだろうか。

それによって、無婚を含めたブライダル業界のソリューションが可能となり、活気ある業界の再生が出来ると信じている。

具体的に、私自身もすでに全国規模のブライダル業界の再生の序章をスタートさせている。

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