連載記事2016年6-2 コミュニケーションスキルは、体で覚えよう! 

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心の笑顔は真実、伝統的な日本の職人の技を検証しよう

日本の職人気質(かたぎ)

日本はモノづくりの国といわれ、その技術の高さには定評があるが、「仕事は体で覚える」ということを、私自身小僧の頃から叩き込まれたが、その時代のコミュニケーションは、殆どセンテンスではなくワードだった。それは、大工などの職人の世界と一緒で、棟梁が弟子に「あれ持ってこい」という「あれ」の意味は皆理解していた。経験による状況判断によるものだ。

私も若い頃には、月に婚礼を15件程度担当し、その他に一般宴会を30~40件担当していた時期がある。確かに、労働時間は長かったが、それだけの業務をこなしても、業務の拘束時間は現代のあるジャンルの婚礼会場ほどではない。業務を効率良く行うためには、システマティックな業務フローとそれなりの個人のスキルが必要となる。

いちいち言葉で説明していると、時間が足りないが、ノンバーバルコミュニケーションがうまく組み込まれていれば、もっと効率よく仕事ができるだろう。

現代は、表面だけをつくろえれば、とりあえず中身はどうでもいいという現状が一般化しつつある。また、ビジュアル重視で、「他と違うこと」に高い価値を覚えるという傾向もあり、ブライダルの伝統やその本質を無視したとしても、ビジュアル的な価値の高さを優先することが多くなり、それに伴いプランナーのプロ度も低下しているように思う。

また、目先を変えてみると、どういうことか理解に苦しむことがあるが、CAもスーパーの店員も同じように、へその上で手を重ねてお辞儀をするようになったが、本来のお辞儀は、女性は軽く手を重ね自然に下におろした状態でお辞儀をするし、男性は、ズボンの外側の縫い目に合わせまっすぐ手をおろしたままお辞儀をするのが日本の習わしだが、へその上で手を重ねるお辞儀は、先日も「韓国式」と揶揄されたが、現在は、伝統や文化を無視し、形やイメージだけが先行して世の中に広がってしまうことが多くなった。

しかし我々日本人は、日本の伝統や文化をもっと大切に考え、日本が作り出したものの本質を十分理解したうえで商品開発をしていかなければならないと思う。

婚礼に限らず、文化や伝統として伝承されて来たものには、それなりの重要な意味、もっと言えばノウハウなども仕込まれているものが多く、到底素人には短時間で創造できない価値の高いものがたくさん存在する。

先人たちのアイテムに隠れる貴重なノウハウ

前にもご紹介したが、婚礼の卓記号一つとっても、松竹場、福禄寿、鶴亀など、見た目は漢字で現代では“ダサイ”と感じてしまい、捨て去られた記号には想像も出来ないほど深い意味があり、効率的なオペレーションのノウハウが詰まっていた。その意味も分からず、見た目だけで、伝統や文化を絶えさせることは我々にとっても大きな損失である。

他にも、婚礼のペーパーアイテムに席次表があるが、どんな目的で作成されるかすら理解できていないプランナーが結構多い。そうしたプランナーが席次表を作るから、卓記号の表記が無かったり、出席者の肩書が無かったりするのである。出席する人にとって、自分の席を探すという目的であれば「もぎり札」が最も便利で分かりやすい。しかし、その存在を知る人は少なくなっているが、これも利益追求に特化しすぎ、お客様への配慮を無視した結果、文化や伝統が断ち切られ、起こるべくして起きた大きな損失と言える。

今後のブライダルにおいて、最優先で考えなければならないのは、出来るだけ多くの人が結婚式を行える状況を確保することだが、他方では従来の結婚式の伝統や文化をもう一度再確認することも重要なことである。また、企業の利益追求の前に顧客の満足をいかに満たすかが重要で、そこに特化した考え方をすれば自ずと企業の利益も確保できる。但し、これまでのような高利益で今後を考えることは難しく、企業として収入構造の改訂を行う必要がある。

 

 

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