連載記事13 フリーランスの思い

最近、ブライダル業界でも、フリーランスという言葉を良く耳にする。プランナー以外に、写真やビデオなどでもフリーランスを目指す人たちが増えてきたようだ。ではなぜフリーランスが増えてきたのだろうか。

写真やビデオの撮影者は、ある種芸術家であり、現状の会社の考え方に満足していない人たちが多い。その人達は、芸術家としてのプライドを持っているので良い作品を作りたいと願っている。ところが、良い作品を作ると会社からお叱りを受けてしまうというのである。

先日、私のところに一つのとても素晴らしいビデオ作品が持ち込まれた。それは、私が15年前に横浜のホテルに勤務していたころ、ビデオ会社に要求したが、当時の市場ではあまりにもコストが高いと言われ、売り物にならなかった商品に非常に類似したコンセプトのものであった。

ところが、撮影者は、会社の上司に「お前にしか撮れないものを撮るんじゃない!」とひどく怒られたそうだ。その理由は、「そんなクォリティの高いものを売り物として出して、もしいつもそのクォリティで撮れと言われたら、対応しきれないじゃないか!」ということらしい。

彼は、そのビデオを、朝の4時からスタンバイをして、湘南の海で撮影をした。それはまさに新郎新婦の願いであり、彼は、何とか新郎新婦の希望を叶えてあげたいという一心だったとのことだ。新郎新婦は、打合せ時に、彼に希望を了解してもらった時点ですでに感激で一杯、出来上がったビデオを見て感動し、心から喜んでくれたそうだ。

こんなに素晴らしい作品を作った人がなぜ上司から怒られなくてはならないのか?私も会社組織に長くいたので、会社の理屈も分からなくはないが、そこが企業の悪いところだと思う。

この素晴らしい作品を撮った有能な人材は、会社に希望を失い、やがて会社を去り、フリーランスの道を歩む結果となった。
プランナーも同様で、本当にお客様が満足する顔が見たいから、組織の制約を受けずに自由にプロデュースしたい一心でフリーランスになった人材も多く、フリーランスとしてその理念を追及している人たちは、その殆どが成功を収めている。

日本には「出る杭は打たれる」という言葉があるが、これはバブル崩壊以前の終身雇用時代のことであり、現代では全くもってナンセンスである。しかしながら、いまをもってまだこの体質は残っており、このことがまさにサービス業界を衰退へと導いているのである。

日本の婚礼ビジネスは、会場が付帯商品を抱えるという世界に類を見ないビジネス形態であるが、今のままで推移していくと、日本の特殊性はうすれていき、欧米諸国に限りなく近づくような気がする。

具体的には、会場が販売するのは主体収入商品のみとなり、付帯収入商品は、新郎新婦が自由に選ぶという形式だ。というのも前述した、ビデオ撮影のように、今後は、ビデオに限らず婚礼の付帯商品に、クォリティと同時にヴァリューが求められるようになり、新郎新婦の求めるヴァリューに応えられる商品が勝ち残っていくであろう。

今や、誰でも手軽に使えるWEBがあり、スマートフォンが普及し、BtoCビジネスの時代を迎えている。新郎新婦のもつ情報量は圧倒的に増え、彼らは自分たちで、自分たちの価値観に合う商品を探し始めている。そして、大手企業でなくても広告・宣伝ができるようになったことで、様々なフリーランスたちが、その実力を武器に、新郎新婦に直接訴求し始めている。

私が7年前にフリーランスのサポートを始め、東日本大震災を経て、今ほどのフリーランスへの潮流は、始めた当初には想像できなかったが、婚礼ビジネスが、今まさに世界水準に向かって歩きだしている実感を強く感じている。

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