連載記事62 本来のプロは、フローよりストック重視

時代そのものを理解することは重要なことで、ものごとを時代背景から分析することで、なるほどと腑に落ちることは多い。ビジネスを行うときも、時代を把握し理解することで、経営指針にも大きな影響とメリットがあると思う。

 

先日もある記事で、「アリとキリギリス」の話を読んだのだが、なるほどと思うことが多く、ただただ感心するばかりだった。

アリは、夏の間一生懸命に働き、冬に備えて食べ物を貯めるが、目先のことだけ考えて夏を気ままに過ごしたキリギリスは、冬になって食べ物がなくなり困ったというよく知られたストーリーだが、このアリを「ストック」重視、キリギリスを「フロー」重視と考える。一般的には、アリは善で、キリギリスは悪と思われているが、現代のビジネス環境のなかでは、この関係が逆転する場合があるという。

 

例えば、破壊的イノベーションを実現するためには、物事をゼロベースで考える必要があり、これまでの経験的資産や知識は捨てて物を考えることが出来るかどうかが重要なポイントである。

 

そもそも知識的な資産というものの位置づけも「ストック重視」から「フロー重視」へと変化しているようだ。

インターネットとクラウドによって、知識や情報はいつでも検索可能になり、昔の百科事典以上の情報が、あの小さなスマホの中に存在している。今や知識や情報は、自分で覚えておく必要はなく、要る時に「ググれ」ばよいということであり、「貯める」から「使う」に変わってきているという。

Q&Aを蓄積し、一度経験した問題への答えは過去のアーカイブから探すというのがストック的考え方だが、それより「もう一度聞いたほうが早い」というのがフロー重視の考え方である。

 

このフロー重視の考え方が、現代のWEBやSNSに取り巻かれた環境の中で一般化しているが、私は、これが現代の問題点だと考えている。

ウエディングの現場で想定しても、フロー重視的な仕事の仕方では、誰しもプロとは思わないのではないか。

私は、その道のプロと言われる人は、どういう人ですかと聞かれたら、「1,000人にひとりのお客様にしか質問されないことでも即答できる人」と答えてきた。すなわち、プロは、完全にストック重視であると考えている。

 

 

今から30年前、駆け出しの頃の私がお世話になった現場は、108席のレストランだが、日によっては2回転し、かつ料理単価が10,000円を超す日もあった。

 

そこは、殆どが予約で、常にゲストとホストが存在し常連客が多い。

ある日常連で海外赴任の長いお客様がきて、今日は昔懐かしい洋食を食べたいという。当然、メニューにはない料理で、自分の頭をフル回転させ、当時でも古い料理とされていたソール・ボン・ファンという古典的な料理を提案し、お客様にお持ちしたところ、えらく感動され、私の株も大きく上がり、同時にお客様からの店の信頼はゆるぎないものになった。

 

ところが、サービス業でも、急拡大を目指す時、フロー重視の方が企業にとっては容易であり、結果、本来顧客満足重視のサービス業には、到底向かない手法が蔓延している。しかしこれは短絡的な発想で、顧客の高レベルな要求には答えられるとは思えない手法であることに気づく必要がある。

 

時と場合によって、時代の流れに従うことも大事なことだと思うが、ストック重視の私にとっては、今のブライダルを見た時に疑問が多すぎる。私の聞く限りでは、何処の施設も人手不足で、その状態がその会社の望む状況である場合もあるが、これだけ新陳代謝が激しい業界で、使える人間がいないことが不思議でならない。たくさんいたプランナーは、何処へ行ったのか、それはなぜなのかということを真剣に考える時期なのではないだろうか。

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